バナー制作で最初に決めるべきはデザインではなく、訴求軸です。
どんなにきれいなバナーでも、訴求がずれていれば成果は出ません。
逆に、訴求が合っていれば、シンプルなバナーでも数字は動きます。
そして作った後の検証設計まで含めて、初めて制作です。
何を変えて何を比べるかを決めずに複数パターンを作っても、どれが良かったのか分かりません。
この記事の要点
- 決める順番は規格 → 型 → 人物の有無 → デザイン
- 人物を出すべき訴求と、出さないほうがいい訴求がある
- 検証は変数1つ。変える順番は訴求軸 → ビジュアル → コピー → 色
1. 制作の手順

図1:デザインに入る前に、決めるべきことが3つある。
多くの制作がステップ1〜3を飛ばして、いきなりデザインから入ります。
その結果、配置に合わないサイズで作り直しになったり、訴求と人物の使い方がちぐはぐになったりします。
2. ステップ1:規格を決める
1つの素材で全配置を賄わないでください。
配置ごとに書き出すのが基本です。
| 配置面 | 比率・サイズ |
|---|---|
| Metaフィード | 1:1(1080×1080)または 4:5(1080×1350) |
| Metaストーリーズ・リール | 9:16 |
| Googleディスプレイ・レスポンシブ | 1200×628 / 1200×1200 |
トリミングで対応すると、重要な要素が切れます。
特に9:16と1:1では、収まる情報量がまったく違います。
最初から配置ごとに設計してください。
3. ステップ2:構成の型を選ぶ
バナーの構成には代表的な8つの型があります。
訴求タイプと1対1で対応させ、商材の認知度とファネル上の位置で選びます。
| 型 | 向いている場面 |
|---|---|
| キャッチコピー型 | 言葉で差別化できる商材 |
| 商品ビジュアル型 | 見た目で伝わる商材 |
| 実績・権威型 | 信頼が購買の障壁になる商材 |
| ビフォーアフター型 | 変化が視覚的に分かる商材 |
| お客様の声型 | 検討層の後押しが必要な場面 |
| オファー型 | 価格・特典が決め手になる場面 |
| 問題提起型 | 潜在層に気づかせたい場面 |
| マンガ・ストーリー型 | 説明に文脈が必要な商材 |
認知が低い商材でいきなりオファー型を使っても刺さりません。
何の商品か分からない状態で「今なら30%オフ」と言われても、判断できないからです。
4. ステップ3:人物を出すか決める
訴求タイプによって、人物を出すべきかどうかが変わります。
ここを機械的に「人物を入れると目立つ」と判断すると、訴求が弱まります。
| 訴求タイプ | 人物 | どんな人物か |
|---|---|---|
| 悩み共感・コンプレックス | 出す | ペルソナ本人(困っている表情) |
| 権威・信頼 | 出す | 専門家(ペルソナ本人ではない) |
| 実績・口コミ | 出す | 一般ユーザー風 |
| 価格・限定・リスク回避 | 出さない | 数字を主役にする |
| 新奇性 | 出さない | 商品・仕組みを主役にする |
価格訴求で人物を出すと、視線が数字から逸れます。
「今だけ半額」を伝えたいバナーで、笑顔の人物が大きく入っていると、肝心の数字が弱くなります。
なお訴求ごとに別の人物を使うのが基本です。
同じ人物が「悩んでいる顔」と「専門家」の両方で出てくると、信頼性が落ちます。
AIで人物画像を生成する場合
- 国籍・特徴を明示的に指定する。 指定しないと想定と違う人物が出力されます
- 年齢は素直に指定し、手がかりを添える(白髪なし、肌にハリ、など)
- 比率は生成段階で媒体仕様に合わせる。 後からトリミングしない
- 日本語の文字をAIに描かせない。 背景と人物はAI、文字は後から乗せる
5. ステップ4:デザインと文字入れ
画像に文字を入れてよいかどうかは、媒体によって違います。
| 媒体 | 画像内の文字・ロゴ |
|---|---|
| Meta(Facebook・Instagram) | 入れてよい(日本の実勢では文字入りが標準) |
| Googleディスプレイ(DSP向け) | 入れない(推奨仕様に従う) |
「画像に文字を入れないほうがいい」という説明を見かけますが、これはGoogleのレスポンシブディスプレイ広告向けの推奨です。
Metaにそのまま適用すると、日本の広告環境では不利になります。
媒体ごとに判断してください。
どの媒体の話をしているのかが書かれていない情報は、鵜呑みにしないことをおすすめします。
6. ステップ5:法務チェック
固定のNGワードリストに頼らないでください。
商材ごとに適用される法律が違います。
確認する観点は次の5つです。
- ☐ 優良誤認(実際より著しく優れていると誤認させる表示)
- ☐ 有利誤認(価格・条件が実際より有利だと誤認させる表示)
- ☐ No.1表示の根拠(調査の出典・期間・範囲の明示)
- ☐ 打消し表示の視認性(注釈が小さすぎないか)
- ☐ ステマ規制(PR・広告であることの明記)
- ☐ 商材固有の法規(美容・健康なら薬機法、金融なら関連法規)
媒体の審査基準は、法律より厳しいことがあります。
法的に問題なくても審査に落ちるケースがあるため、審査落ちした表現は社内に記録して蓄積してください。
同じ失敗を繰り返さないための資産になります。
7. ステップ6:検証設計
変える変数は1つだけです。
複数を同時に変えると、何が効いたのか分かりません。
変える順番は、影響の大きいものからです。
“` 訴求軸 → ビジュアル → コピー → 色・レイアウト “`
訴求軸が最も影響が大きく、色やレイアウトは最も小さいからです。
色を変えて数%動かすより、訴求軸を変えて倍動かすほうが先です。
判定基準は配信前に決める
「CTRが〇%を超えたら採用」を、配信を始める前に決めてください。
数字を見てから基準を決めると、都合よく解釈してしまいます。
訴求テスト時は広告セットを分ける
通常の運用ではコンバージョンを集約するために広告セットを統合しますが、訴求のテストをするときは分割します。
理由は、同じ広告セットに複数の広告を入れると、システムが配信を偏らせ、ほとんど露出されない広告が出てしまうためです。
それでは比較になりません。
比較の公平性を優先します。
なお、訴求テストの段階では「週50件のコンバージョン」を必達条件にしなくて構いません。
予算規模によっては到達しませんが、訴求の優劣を判定することは可能です。
この理由でテスト自体を止める必要はありません。
まとめ
- デザインの前に、規格・型・人物の有無を決める
- 人物は訴求で決める。 価格訴求では数字を主役にする
- 検証は変数1つ。 訴求軸から順に、影響の大きいものから変える
この記事について
- 執筆:合同会社Nexum(広告運用・Web制作支援)
- 最終更新:2026年8月28日
- 制作方法:各媒体の公式仕様を確認したうえで、自社のバナー制作業務で運用している判断基準(媒体ごとの文字入れの扱い、訴求別の人物の使い分け、テスト時の広告セット設計)をもとに構成しています。
