AIで動画広告を作るとき、最も多い失敗は「いきなり動画を生成すること」です。
生成AIは手軽ですが、動画の生成コストは静止画の10倍以上かかります。
構図が決まらないまま動画を作り直していると、時間もコストも膨らみます。
正しい順番は、構成を決める → 静止画で構図を確定する → 動画化する、です。
そしてもう1つ。
動画広告は構成が7割です。
ツールが良くても、構成が決まっていなければ成果は出ません。
この記事の要点
- 構成を確定してから素材を作る。 作りながら考えない
- 静止画で構図を確定してから動画化する。 コストが1桁違う
- テストは冒頭1〜2秒だけ変える。判定指標はCTRではなく3秒再生率
1. 制作の全体手順

図1:生成に入る前に、構成と冒頭の設計を終わらせる。
ステップ1と2が全体の成否を決めます。
ここを飛ばして生成から始めると、素材はできても成果が出ない動画になります。
2. ステップ1:構成を決める
シナリオを確定してから素材を作ります。
代表的な構成の型は3つです。
| 型 | 構成 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 課題解決型 | 問題提起 → 解決策 → ベネフィット → CTA | 悩み解決型の商材 |
| フック先行型 | インパクト → 商品説明 → CTA | 認知が低い商材・短尺 |
| ストーリー型 | 共感ストーリー → 商品 → CTA | 情緒的な訴求が効く商材 |
構成を考えるときの枠組みとして、ABCDが知られています。
- A:Attention(注目) — 冒頭にピークを置く
- B:Branding(ブランディング) — 誰の商品かを伝える
- C:Connection(つながり) — 見ている人と関係づける
- D:Direction(行動喚起) — 次にすることを示す
注意点として、Aを最後に持ってこないでください。
テレビCMのように最後に山場を作る構成は、スキップされる環境では機能しません。
3. ステップ2:冒頭2〜3秒に全力を注ぐ
ユーザーは冒頭2〜3秒で、見続けるかどうかを判断します。
ここを通過しなければ、それ以降は存在しないのと同じです。
冒頭で必要なのは「変化」です。
- 動きのあるテキストを入れる
- 音で変化をつける
- 画面が切り替わる、被写体が動く
静止したまま始まる動画は、その時点で不利です。
フィードをスクロールしている指を止める理由がありません。
4. ステップ3:静止画で構図を確定する
動画を作る前に、静止画で構図を固めます。
理由はコストです。
| 相対的なコスト | |
|---|---|
| 静止画1枚 | 1 |
| 動画5秒 | 約5〜80倍 |
| 動画15秒 | 約15〜250倍 |
構図の試行錯誤を動画でやると、コストが跳ね上がります。
静止画の段階で「この人物、この構図、この背景」を確定させてから動画化すれば、無駄がありません。
人物を生成する場合の注意
- 国籍・特徴を明示的に指定する。 指定しないと意図と違う人物が出力されます
- 年齢は素直に指定し、手がかりを添える(白髪なし、肌にハリ、など)
- 同一人物を保ちたい場合は、確定した画像を参照画像として渡す
- 比率は生成段階で媒体仕様に合わせる。 後からトリミングしない
- 日本語の文字をAIに描かせない。 背景と人物はAI、文字は編集で乗せる
動画化するときのコツ
いきなり長尺で作らないでください。
まず短い秒数で構図と動きを確認し、問題がなければ本番の長さで生成します。
この二段構えだけで、やり直しのコストが大きく下がります。
5. ステップ4:縦型編集の4原則
縦型動画には、横型とは別の編集ルールがあります。
- 冒頭2〜3秒に、動きのあるテキストと音で変化をつける
- テンポ重視の早いカット割りにする
- 音声オフでも伝わる字幕を必ず入れる
- スマートフォンの視認性に合わせて、文字を大きくする
3番目は必須です。
多くのユーザーは音声をオフで視聴します。
字幕がなければ、内容がまったく伝わりません。
4番目も見落とされがちです。
PCの編集画面で見ると十分に見える文字が、スマートフォンでは読めないことがあります。
書き出したあと、必ず実機で確認してください。
6. ステップ5:書き出しと確認
媒体ごとに必要な比率を用意します。
| 比率 | 主な用途 |
|---|---|
| 9:16 | ストーリーズ・リール・TikTok |
| 1:1 | フィード |
| 16:9 | YouTube・一部のディスプレイ |
書き出し後の確認事項は2つです。
- 解像度が低くないか — 低解像度の動画は露出が抑制されます
- AI生成の透かしが入っていないか — 透かし入りの動画も同様に不利になります
透かしの確認は必ず行ってください。
生成ツールによっては、書き出し設定次第で透かしが残ります。
7. ステップ6:テストは冒頭だけ変える
A/Bテストで変えるのは、冒頭1〜2秒だけです。
理由は単純で、後半を変えても、そこまで視聴されていないため検証にならないからです。
離脱の大半は冒頭で起きています。
まず冒頭を通過させる勝ち筋を見つけ、そのあとで後半を検証します。
判定指標はCTRではなく3秒再生率
動画広告の冒頭を検証するとき、CTRは適切な指標ではありません。
CTRには冒頭以外の要素も影響するためです。
見るべきは3秒再生率で、目安は20%です。
ここを下回るなら、冒頭が機能していません。
| 指標 | 何を測っているか |
|---|---|
| 3秒再生率 | 冒頭が通過しているか |
| 視聴完了率 | 構成全体が持っているか |
| CTR | 訴求とオファーが響いているか |
| CVR | LPとの接続が取れているか |
指標を分けて見ることで、どこに問題があるかが特定できます。
「動画の成果が悪い」ではなく、「3秒再生率は良いがCTRが低い」まで分解できれば、直すべき場所が決まります。
まとめ
- 構成が7割。 作り始める前にシナリオを確定する
- 静止画で構図を確定してから動画化する。 コストが1桁違う
- テストは冒頭だけ。 判定は3秒再生率(目安20%)で行う
この記事について
- 執筆:合同会社Nexum(広告運用・Web制作支援)
- 最終更新:2026年8月28日
- 制作方法:自社のAI動画広告制作業務で実際に用いている手順(静止画先行の制作フロー、縦型編集の原則、冒頭のみのA/Bテストと3秒再生率での判定)をもとに構成しています。コストの比率は自社での実測に基づく概算です。
